書評 5点の本: 2005年12月アーカイブ
![]() | 世界の教科書は日本をどう教えているか 別技篤彦 朝日新聞社 1999/08 定価:¥ 714 アマゾンで詳細を見る |
人間は敏感さと知的欲のほかに、直接感覚し得ないときには驚くべき想像力と情感を働かす。(略)そこで学校では分離したこれらの諸教科の知識を総合し、青少年自身の生活体験や感情を通じて、人間とその生活について具体的に考えさせ、把握させようとする目的のもとに、新しい教科書としての「社会科」が生まれたのである。 朝日文庫P209より戦前の日本人とすごく距離を感じてました。 だって、戦後、天皇陛下が人間宣言して驚かないやろう普通。 驚いてる人間に驚く、ほんまに神やと思ってたんかって。 なんちゅう国や...。
でも、司馬遼太郎が、
「(戦前・戦中の)当時の正常な日本人の(司馬遼太郎本人を含め)だれもが本当に天皇が神だと信じていたいなかったのではないだろうか。」
と「歴史と視点」という本に書いていて、
あぁ同じ感情を持つ人間なんだと思ったことがあります。
その後、戦争中に女性でも戦争に役に立つために
速記を覚えたりしてた知り合いに
「天皇が神ってほんとうに信じてたんですか?」
と聞いたことがありました。
すると、
「そう教えられたからなぁ。
そら、超人的な力とかは持ってたとはおもってないよ」
と答えてくれたことがありました。
現行の憲法上の「人間は平等」でさえ
未来からみると、違和感をもつかもしれないし、
人間は平等と信じているかと聞かれると
そう教えられました
としか答えようがないみたいなもんかもしれない。
そういう、同じ日本人でも持つ断絶を
他の国になると、日本人は、
ゲイシャ、フジヤマなど典型的で
エキゾティックなものを強調し、
人間味を持たないものになって伝わっていく。
この本は
世界に日本の特異に伝わっている例を取り上げて、
楽しむというものではなく、
どのような教科書が
われわれ日本人が理解されていると思う教科書か、
言い換えれば、
どのように伝えれば
人間味あふれる異文化理解が可能か
と言う点にまで踏み込んでいる点が面白い。
一方、
アメリカの教科書は原爆を正当化している、
韓国の教科書は、中国はと羅列なとこもあり
一気に読むと飽きがくる。
一応、
社会学部出身だったんだけど、
社会科ってそんなとこ目指してたんや。
書評(10点中) 5点
![]() | 蜘蛛の糸・杜子春 芥川龍之介 新潮社 1968/11 定価:¥ 300 アマゾンで詳細を見る |
カンダタは、利己心をもってしまったので、
天竺につながる蜘蛛の糸が切れてしまったんですよ。
へ~。って感じ。
道徳どうこうで作品の評価すると
今のハリウッド映画のようにマンネリ化する気がする。
この小説が、心理の一端を示している。
みたいなことを書かれると、
小説家は何様だと
少し鼻で笑いたくなる。
文体がどうこうとか言われても、
じゃあ、
国文学者が小説書けばいいやんと思う。
お話自体は面白い。
特に、この中で「白犬」がよかった。
「あら、どうしましょう?春夫さん。この犬はきっと狂犬だわよ。」
新潮文庫 P115より
この台詞のどこがいいの?
と聞かれたら、
道徳的な説明とかまったくできないけれど、
ただ、心の琴線に触れた。
としかいいようがない。
子供に虐められていた子犬が、
助けてもらった犬に、
「おじさんは一体何者なんですか?」
と聞く、くだりもいい。
「じゃあ名前だけ聞かせてください。僕の名前はナポレオンと云うのです。」
新潮文庫 P120より
子供に虐められてた子犬がナポレオン!!!
芥川龍之介は、芥川賞からか、
ひちめんどくさいイメージが一新しました。
書評(10点中) 5点
趣味は「読書」:蜘蛛の糸
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