書評 6点の本: 2006年3月アーカイブ

燃えよ剣 (上巻) 司馬遼太郎燃えよ剣 (上巻)
司馬遼太郎
新潮社 1972/05
定価:¥ 700

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攘夷・尊王などイデオロギーばかり肥大化し、 殺人が日常化していた幕末の京都。 「御用、御用」と時代劇では元気な御用聞が、 十手を隠してふるえていた。 そんな京都で浮浪集団にすぎない新選組を 攘夷・尊王もなく鉄の殺人集団を作り上げた鬼の副長土方歳三のお話。 生前、司馬遼太郎が自身の作品で気に入ってる作品は?と聞かれ 「燃えよ剣」と「空海の風景」の二作をあげてたといわれている。
「敵と刃をかわし、敵を傷つけ、しかも仕止めきらずに逃がした場合」 「その場合どうなります」 「切腹」 と、歳三はいった。 (略) 隊士にすれば一たん白刃をぬいた以上、面もふらずに踏みこみ踏みこんで、ともかく敵を斃す以外手がない。 「それがいやなら?」 「切腹」 「臆病なやつは、隊がおそろしくなって逃げだしたくなるでしょう」 「それも第二条によって、切腹」 これが、公示された。 新潮文庫 P310より
孫子の兵法の作者と言われていた孫武が 楚の王は孫武の実力をはかるため 妾で陣立の演技の指揮を執らせたが、 妾はふざけあって指揮に従おうとしない。 そこで孫武はリーダー格の王に最も愛されていた妾を切り殺した。 妾は緊張感を持ち見事な演技を披露したなど、 その他諸葛亮孔明など中国の兵法家は刑罰を重視していたと思う。 (孫子の兵法は孫ビンって人が書いたのが  最近有力な説になってるそうだけど) そういう面で、 今の学校の先生は体罰を禁止されて大変だなと思う。

僕は体罰はそれほど苦にならず、
叩かれるぐらいで忘れ物が減ったりしなかったが、
教室のみんなの前で、
忘れ物したものの字を尻でなぞる(尻文字)
規則があったときだけは忘れ物をしなかった。

「忘れ物をしたら?」
「尻文字」
「学校がおそろしくなって逃げだしたくなるでしょう」
「それも第二条によって、尻文字」

話がそれたけど、
新選組は刑罰の点で強烈。
とにかく切腹。
幕末に、
親に「いつまでチャンバラやってるつもりや!」
って怒られて、
とにかく就職したところが新選組だったら、どうしようかと思う。
定年あんねやろかとか。

初読の時は、
土方のかっこよさと、近藤のあほさばかりが目立ったが、
この年で、読むと、近藤の気持ちがわかる。
一目を置かれようとして、一座で一番馬鹿なのに、
なんとか知ってる振りして余計馬鹿を披露してるとろ。
近藤のばかなのに一生懸命背伸びしているところが
あわれで涙を誘う。

再読
書評(10点中) 6点
読みやすさ +0.5点
燃えよ剣 (下巻)の読書感想文
趣味は「読書」:燃えよ剣

雪国 川端 康成雪国
川端 康成
新潮社 1987/00
定価:¥ 340

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情が深く生きることに「真剣」な駒子と、 親の財産で暮らし、いいかげんで「不真面目」な島村のお話。 特に内容のある話ではないと思う。
「どうしたんだ。」 「帰るの。」 「馬鹿言え。」 「いいから、あんたお休みなさい。私はこうしてたいから。」 「どうして帰るんだ。」 「帰らないわ。夜があけるまでここにいるわ。」 「つまらん、意地悪するなよ。」 「意地悪なんかしないわ。意地悪なんかしやしないわ。」 「じゃあ。」 「ううん、難儀なの。」 新潮文庫P64より
なんだ、このあほ小説は。 日本を代表する作品がこれか。 と、初読の思った。 過去の話の挿入がごっちゃになって分かり難かったし、 島村も何考えているのかよくわからない。 そんなにいい印象はなかった。

その後、映画で、
岸恵子が駒子を演じたものと
岩下志麻が駒子を演じたものを見た。
「あんた、何しに来た。」
「そんなこと言うもんじゃないよ、君ぃ」
とか言いながら、島村が駒子に擦り寄って、駒子の髪食べとる!
なんだ、この島村のくずぶりは。
一方、駒子の情の深い演技は、演者の腕がでて面白い。
内容(ストーリー展開)がないので、純粋に演技が楽しめた。
書評6点もつけているけど、映画込みの点数。

今回珍しく、注釈を読んだら、
島村って駒子を引き立てるだけの登場人物だったって書いてた。
すごく納得。
駒子だけ見ているととても面白い小説でした。
島村が、
駒子の一途な生き方に引かれるところをもっと強調してもらいたかった。
それで、僕もこれから一生懸命に生きるど~
ってなると、行きすぎて興ざめだけども。

ところで
川端康成のすごいと思うところは、その性癖。
ロリコンと昆虫に関しては、
小説(フィクション)を超えて、
実生活でなにをやってたんやと感じさせる、
性向の激しさがある。
世に出る人は、
一般に誉められてることだけじゃなくて、
何か卓越してるものがあるなと思う。

再読
書評(10点中) 6点
趣味は「読書」:雪国

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