2005年12月アーカイブ

ありがとう大五郎 大谷淳子ありがとう大五郎
大谷 淳子
新潮社 1997/03
定価:¥ 380

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こういう状態にありながら、社会派カメラマンとしての父の姿が前面に押し出されているようであり、わたしには許せなかった。 新潮文庫P124より
僕は、昔犬を飼っており、 田舎で放し飼いにしていたとき、 いつの間にか電車に引かれて死んでいた。 駅員に知らない間に埋められてた犬の墓を 母親と泣きながら、素手で掘り返したことがありました。

けど、
ペットの死ぬことなんて
飼い主の個人的なことであって、
近所の葬式でさえ、
当事者の気持ちも考えず、
親指隠すような失礼なことしてたのに、
なんで、知らんところのサルが死んだところで
悲しまなあかんねん。
と、いうのが
初読の時の正直な感想でした。

今回、再読することになって、
印象に残ったのが、
カメラマンのお父さん。
この本では、再三、サルの大五郎は、
家族だ、長男だ、末っ子だと書いている。
にも関わらず、
大五郎の死体、
大五郎が死んで悲しんでる(その後体を崩して入院した)妻の
写真を撮影している。
子供が葬式の
母親が悲しんでいる姿を
夫がシャッター音をたてながら
撮影するんだろうか。
プロカメラマンのすさまじさを感じました。

再読
書評(10点中) 3点
趣味は「読書」:ありがとう大五郎

絵のない絵本 アンデルセン絵のない絵本
アンデルセン
新潮社 1952/08
定価:¥ 300

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「さあ、わたしの話すことを、絵におかきなさい」と、月は、はじめてたずねてきた晩に、言いました。「そうすれば、きっと、とてもきれいな絵本ができますよ」 新潮文庫P7より
月が絵かきに、物語をするというお話(引用参照)。

この本は名作だと思います。
この本を面白いといわない人は
詩情がないと言われると思います。
でも、子供向けではない気がします。
アンデルセンだから、この小説いいだろう?
って、子供に言われても、
小説のイメージがわかないと思う。
話がこてこてだから
ええ年した人は
情景が浮かんでくる気もします。

だいたい月が語る一つの話が2,3ページ。
ネタをこんなに小出しにして
もったいないと思うのだけど、
それをしないところが名作。

絵かきさんは
この物語をどう書くのだろうって
絵のない絵本の絵本が読んでみたい。
と思って、
アマゾンでそれらしいのを探して、
表紙を見た。
絶対イメージ崩れると思った。

再読
書評(10点中) 4点
趣味は「読書」:絵のない絵本

だって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記 中村うさぎだって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記
中村うさぎ
角川書店 1999/01
定価:¥ 460

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もしかしたら私は、思いどおりにならなかった青春を、お金で取り戻そうとしているのかもしれない。 角川文庫P153より
シンデレラ願望というのがあるらしい。

そういえば、シンデレラは「魔法」をかけられた。
しかし、「魔法」といえるものは、
かぼちゃの馬車だけだった気がする。
彼女は「きれいな」ドレス=高級な衣装=ブランド品
を身につけたためにみすぼらしい女性から、
王子もほれる女性に変身したんだった。

あれが、魔法使いじゃなくて、
シンデレラの前で、そこらへんのおっさんが、
「これで服買ってこいや」
って、床に金を投げ捨てても話が
援助交際→ブランド購入→王子と結婚
みたいな流れで成立する。
(ガラスの靴、12時になっても消えなかったし)

そんなしょうもないことを考えながら読んでました。
はっきりいって、この本の
ひとりぼけ、ひとりつっこみの
エッセイのスタイルが嫌い。
これなら、あとがきの精神科医の先生に
「この現象はドーパミング効果を...」
とか冷静につっこんでほしかった。

文庫版のあとがきでは、
同じ人かと思うほど文章の腕を格段に上げている。
って、
だけじゃなくて、あとがき読んで分かるが
これ、少年少女向けに書いてたんだ。

書評(10点中) 2点
読みやすさ +0.5
趣味は「読書」:だって、欲しいんだもん!

世界の教科書は日本をどう教えているか 別技篤彦世界の教科書は日本をどう教えているか
別技篤彦
朝日新聞社 1999/08
定価:¥ 714

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人間は敏感さと知的欲のほかに、直接感覚し得ないときには驚くべき想像力と情感を働かす。(略)そこで学校では分離したこれらの諸教科の知識を総合し、青少年自身の生活体験や感情を通じて、人間とその生活について具体的に考えさせ、把握させようとする目的のもとに、新しい教科書としての「社会科」が生まれたのである。 朝日文庫P209より
戦前の日本人とすごく距離を感じてました。 だって、戦後、天皇陛下が人間宣言して驚かないやろう普通。 驚いてる人間に驚く、ほんまに神やと思ってたんかって。 なんちゅう国や...。

でも、司馬遼太郎が、
「(戦前・戦中の)当時の正常な日本人の(司馬遼太郎本人を含め)だれもが本当に天皇が神だと信じていたいなかったのではないだろうか。」
と「歴史と視点」という本に書いていて、
あぁ同じ感情を持つ人間なんだと思ったことがあります。
その後、戦争中に女性でも戦争に役に立つために
速記を覚えたりしてた知り合いに
「天皇が神ってほんとうに信じてたんですか?」
と聞いたことがありました。
すると、
「そう教えられたからなぁ。
そら、超人的な力とかは持ってたとはおもってないよ」
と答えてくれたことがありました。

現行の憲法上の「人間は平等」でさえ
未来からみると、違和感をもつかもしれないし、
人間は平等と信じているかと聞かれると
そう教えられました
としか答えようがないみたいなもんかもしれない。

そういう、同じ日本人でも持つ断絶を
他の国になると、日本人は、
ゲイシャ、フジヤマなど典型的で
エキゾティックなものを強調し、
人間味を持たないものになって伝わっていく。

この本は
世界に日本の特異に伝わっている例を取り上げて、
楽しむというものではなく、
どのような教科書が
われわれ日本人が理解されていると思う教科書か、
言い換えれば、
どのように伝えれば
人間味あふれる異文化理解が可能か
と言う点にまで踏み込んでいる点が面白い。

一方、
アメリカの教科書は原爆を正当化している、
韓国の教科書は、中国はと羅列なとこもあり
一気に読むと飽きがくる。

一応、
社会学部出身だったんだけど、
社会科ってそんなとこ目指してたんや。

書評(10点中) 5点

蜘蛛の糸・杜子春 芥川龍之介蜘蛛の糸・杜子春
芥川龍之介
新潮社 1968/11
定価:¥ 300

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芥川龍之介の中でも、 少年少女向けの短編を集めた文庫本。 再読。

カンダタは、利己心をもってしまったので、
天竺につながる蜘蛛の糸が切れてしまったんですよ。
へ~。って感じ。

道徳どうこうで作品の評価すると
今のハリウッド映画のようにマンネリ化する気がする。
この小説が、心理の一端を示している。
みたいなことを書かれると、
小説家は何様だと
少し鼻で笑いたくなる。
文体がどうこうとか言われても、
じゃあ、
国文学者が小説書けばいいやんと思う。

お話自体は面白い。
特に、この中で「白犬」がよかった。

あら、どうしましょう?春夫さん。この犬はきっと狂犬だわよ。
新潮文庫 P115より

この台詞のどこがいいの?
と聞かれたら、
道徳的な説明とかまったくできないけれど、
ただ、心の琴線に触れた。
としかいいようがない。
子供に虐められていた子犬が、
助けてもらった犬に、
「おじさんは一体何者なんですか?」
と聞く、くだりもいい。
「じゃあ名前だけ聞かせてください。僕の名前はナポレオンと云うのです。
新潮文庫 P120より

子供に虐められてた子犬がナポレオン!!!

芥川龍之介は、芥川賞からか、
ひちめんどくさいイメージが一新しました。

書評(10点中) 5点
趣味は「読書」:蜘蛛の糸

教科書でおぼえた名詩 文芸春秋教科書でおぼえた名詩
文芸春秋
文藝春秋 2005/05
定価:¥ 530

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詩っていうのは、よく分からない。 詩集とかなら、 代表作以外の駄作も含まれるから 読むのがさらにしんどい。

そういう意味で、おいしいとこだけ
とってきたこの本は、楽しめると思い購入。
この本でも、半分以上、
よう分からなかった。
これ、名詩なん?と思う詩もある。

詩って、せめて古典みたいに、
読むまでの過程があると
わかるんだけど、
詩のよさが分からないほうが
悪いって感じがして
避けてました。
別にテストがあるわけでもないので、
よく分からない詩は、
読み捨て。

理解度が浅かったとしても
読んでるだけで面白いのもあって、
小説と違って
テンポがいいので楽しい。
特に茨城のり子がよかったので、
詩集も読んでみたくなりました。

でも、著作権のせいかと思うぐらい、
この本は古い詩ばかり。

書評(10点中)4点
趣味は「読書」:教科書でおぼえた名詩

深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン 沢木耕太郎深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン
沢木耕太郎
新潮社 1994/05
定価:¥ 460

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<わかっていることは、わからないということだけ> 新潮文庫P109より
とうとう最終巻、 穏やかな感じで終わる。 旅行記などの観察記ではなくて、 旅をしている筆者の心境を軸にしていたので、 面白かったです。

本を読んでいるだけで、
旅をしている気分になり、
旅の終わりに近づいている
筆者とシンクロしている感じで
旅も終わりかと
浸ってしまう自分が怖い。

読み終わって、
旅っていいなと思うのは、
日常生活で直接肌で感受性が
高まることがないからかもしんない。

書評(10点中)6点
趣味は「読書」:深夜特急