2006年3月アーカイブ

江戸川乱歩傑作選 江戸川乱歩江戸川乱歩傑作選
江戸川乱歩
新潮社 1960/12
定価:¥ 460

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趣味は昆虫を飼って、その昆虫の交尾を眺めてることです。
ノミを半殺しにしておいて、
もがいてる姿を顕微鏡で観察するのも好きですね。
こんな自己紹介するやつがいたら、
一目を置いてしまうのではないだろうか。
そんな珍奇な登場人物ばかりでてくるの短編集。

「おい坊や、その針金に小便をかけてごらん。とどくかい」 新潮文庫P151より
高圧電流を流した針金にたっしょんを引っ掛けて、 伝導体のおしっこに、電気が伝わって、 感電死するという殺人だけれど、 想像もつかなかった。 不謹慎にも、どんな死に方するか見てみたいと思った。 この殺人はあまりにも芸術的だ。

話は変わるが
つい最近、男便所の大便用の個室から、
気張り声が漏れ聞こえた。
そのとき、一瞬、その声が色っぽいと感じた。
考えれば、大の大人が、
声が漏れないように、踏ん張りながらの気張り声って、
鑑賞に値するかもしれない。
って、考えたけど、
こんなところで変な性癖が、
目覚めのモーニングショットを喰らって
起きてはまずいと思って、
なるべく便所は聞き耳を立てないようにしている。

本を読むと世界が広がるって言うけれど、
余計なほうに広げたくないと思った作品。

昔は、本を読んでると、
親に怒られたと聞くけど
たしかに、こんな本、
子供が読んでいたら、取り上げたくなる。

明智小五郎、初登場の「D坂の殺人事件」も
ネタばれになるから書けないけど、
感想は、え~~
事件の真相に驚いての、えーー!
じゃなくて、
ほんとに先生、これでいいんですかの
え~~。
(感想になってない)

再読
書評(10点中) 5点
趣味は「読書」:江戸川乱歩傑作選

燃えよ剣 (下巻) 司馬遼太郎燃えよ剣 (下巻)
司馬遼太郎
新潮社 1972/06
定価:¥ 660

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一つの方法として、戦後、天皇陛下に戦争責任を押し付けるということが有効だったんじゃないかと思った。 ドイツがヒットラーを悪者にしているように 中国、韓国などの謝罪を求めるのに対して、 国家的な責任ではなく、 スケープゴートをたてて個人に責任をなすりつけることが出来る。 実際の東京裁判では正反対に罪を被せなかった。 尊いんだけど、 そういう手段は考えつかなかったんだろうか。

ってわけで、この本を再読しました。
新撰組は、指揮系統を副長の土方歳三がまとめて、
すでに出来上がったピラミッド構造の上に、
余分な石の局長・近藤をのせている組織図になっている。
今でいえば、企業が不祥事を起こして、すみませんでした。
トップは辞任しますっていって、
トップ(新撰組なら近藤)が交代しても、組織は変わらない。
ポーズだけの辞任が出来て、トップは責任をとって切り捨てるだけの、
とかげのしっぽみたいな使い方が出来る。

なら、戊辰戦争の時、悪かったのはこいつだけです。って、
近藤を差し出します、怒りを静めてください
って向きがなかったのかなって、非常に疑問を思った。
三国志なんかは、
防戦の大将「最後の一兵まで戦ってくれるわ!」
防戦の兵士「ごめん!」(大将の背中を押して城砦から突き落とす)
防戦の大将「あれ~」。グシャッ。死亡。
防戦の兵士「降伏します」
ってのがよくあったイメージがある。
横山光輝の三国志35巻とか(←古本屋で調べた)

ちなみに、読み返したが、
兵士は逃亡はしても、
将の首を手見上げにする向きはまったくない。
日本人の美徳なんかなと思った。

この本の主人公の土方は
敵将(伊東甲子太郎)の死骸を道端にさらして、
死体を餌にして、
死体を回収しに来た元部下を待ち伏せして切り殺す。
敵に対しては恐ろしく残酷。

再読
書評(10点中) 7点
(注.ここの書評は司馬遼太郎に点数が甘いです。)
趣味は「読書」:燃えよ剣

異邦人 カミュ異邦人
カミュ
新潮社 1954/09
定価:¥ 420

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小学校6年のころ、 母親が息子の僕に愛想をつかして実家に帰ってしまった。 別に母がいなくても困りはしないが、 父と二人で残されたのが苦痛だった。 なぜなら、一番災難なのは残された父で、 会社から帰ると母がいないし、母の実家にも顔がたたない。 当然、僕は相当父に気をつかった。 晩御飯にほかほか弁当と2つ買って 2つのうち好きなほうを父にとってもらって、 そんな悲惨な父と二人で晩御飯を黙々と食べた。 朝ごはんは、食パンとインスタントコーヒーを作って食べた。 朝ごはんの食器を洗おうとしていると、 カッターシャツ姿の父が台所に来た。 「僕が洗うから…」 というと、 「いい」 と言って、 無言で狭い台所に二人で並んで しばらくシャーッって食器を洗っていると、 たわしを持っている父の手がプルプル震えだして、 「なんで俺がこんなことせなあかんねん!」 と、食器に向かって吐き捨てた。 だから、洗わんでいいっていうたやん って、 実家に帰った母も、父も含め、 子供のころは大人すべてが不条理だと思った。

不条理だと思ってたことを、
今考えると、
父が何を母が僕に怒ったか知らないので、
とにかく怒りの矛先を向けるために
こんなインネンつけるような怒り方をしたのかなと思うし、
母に関して、実家に帰ったのは
母に怒られても聞かない僕と、
子供を怒ってくれない父に対する
一種の「手」だったのかなと思う。
そうだとしたら、そうとう計算しとる。

一方、小説の感想。
不条理な話の、小説界の最高峰と言われてる作品。
当然、主人公のムルソー、変なことやったれ、やったれ
って期待して読むと、思ったより普通。
僕はあまり不条理に感じなかった。

一方、私は、肉体的な欲求がよく感情を邪魔するたちだという、説明をした。ママンを埋葬した日、私はひどく疲れていて、眠かった。それで、起こったところのことを、よく了解できなかったのだ。私が確信をもっていいうることは、ママンが死なない方がいいと思ったということだけだ。
新潮文庫 P68より

葬式では悲しくなくても、
悲しむ演技をしなければならない。
演技をしなければ、不条理だという。
ムルソーはそういった慣習的に行われている演技よりも
疲れた、眠いなど肉体的に感じることを真理とした。
そして、殺人さえも太陽のせいにした。

もし、あの母が実家に帰った日、父がマラソンに出場していたら、
疲れて、その日母がいてもいなくてもどうでもよくなったのではないだろうか。
もし僕ならマラソンした後の肉体状態で、
何があっても怒ったり悲しんだりする余力がないと思う。
訃報があっても、
あっ、そう
って言って訃報を持ってきた人を驚かせるかもしれない。

関係ないけど、そういう時、
「貴様!悲しくないのか!」と殴りかかられた瞬間、
隠し持ったミニトマトを握りつぶして、
握りこぶしから、赤い汁を滴り落として、
「やつは心の中でないているのだ。そういう男よ」
と言われて非難をかわしてみたい。

でも、まぁ、この世間一般に悲しむ約束事があるから、
堂々とお休み取れるわけで。

難しい小説。

書評(10点中) 5点
読みにくさ -0.5点
趣味は「読書」:異邦人

燃えよ剣 (上巻) 司馬遼太郎燃えよ剣 (上巻)
司馬遼太郎
新潮社 1972/05
定価:¥ 700

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攘夷・尊王などイデオロギーばかり肥大化し、 殺人が日常化していた幕末の京都。 「御用、御用」と時代劇では元気な御用聞が、 十手を隠してふるえていた。 そんな京都で浮浪集団にすぎない新選組を 攘夷・尊王もなく鉄の殺人集団を作り上げた鬼の副長土方歳三のお話。 生前、司馬遼太郎が自身の作品で気に入ってる作品は?と聞かれ 「燃えよ剣」と「空海の風景」の二作をあげてたといわれている。
「敵と刃をかわし、敵を傷つけ、しかも仕止めきらずに逃がした場合」 「その場合どうなります」 「切腹」 と、歳三はいった。 (略) 隊士にすれば一たん白刃をぬいた以上、面もふらずに踏みこみ踏みこんで、ともかく敵を斃す以外手がない。 「それがいやなら?」 「切腹」 「臆病なやつは、隊がおそろしくなって逃げだしたくなるでしょう」 「それも第二条によって、切腹」 これが、公示された。 新潮文庫 P310より
孫子の兵法の作者と言われていた孫武が 楚の王は孫武の実力をはかるため 妾で陣立の演技の指揮を執らせたが、 妾はふざけあって指揮に従おうとしない。 そこで孫武はリーダー格の王に最も愛されていた妾を切り殺した。 妾は緊張感を持ち見事な演技を披露したなど、 その他諸葛亮孔明など中国の兵法家は刑罰を重視していたと思う。 (孫子の兵法は孫ビンって人が書いたのが  最近有力な説になってるそうだけど) そういう面で、 今の学校の先生は体罰を禁止されて大変だなと思う。

僕は体罰はそれほど苦にならず、
叩かれるぐらいで忘れ物が減ったりしなかったが、
教室のみんなの前で、
忘れ物したものの字を尻でなぞる(尻文字)
規則があったときだけは忘れ物をしなかった。

「忘れ物をしたら?」
「尻文字」
「学校がおそろしくなって逃げだしたくなるでしょう」
「それも第二条によって、尻文字」

話がそれたけど、
新選組は刑罰の点で強烈。
とにかく切腹。
幕末に、
親に「いつまでチャンバラやってるつもりや!」
って怒られて、
とにかく就職したところが新選組だったら、どうしようかと思う。
定年あんねやろかとか。

初読の時は、
土方のかっこよさと、近藤のあほさばかりが目立ったが、
この年で、読むと、近藤の気持ちがわかる。
一目を置かれようとして、一座で一番馬鹿なのに、
なんとか知ってる振りして余計馬鹿を披露してるとろ。
近藤のばかなのに一生懸命背伸びしているところが
あわれで涙を誘う。

再読
書評(10点中) 6点
読みやすさ +0.5点
燃えよ剣 (下巻)の読書感想文
趣味は「読書」:燃えよ剣

雪国 川端 康成雪国
川端 康成
新潮社 1987/00
定価:¥ 340

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情が深く生きることに「真剣」な駒子と、 親の財産で暮らし、いいかげんで「不真面目」な島村のお話。 特に内容のある話ではないと思う。
「どうしたんだ。」 「帰るの。」 「馬鹿言え。」 「いいから、あんたお休みなさい。私はこうしてたいから。」 「どうして帰るんだ。」 「帰らないわ。夜があけるまでここにいるわ。」 「つまらん、意地悪するなよ。」 「意地悪なんかしないわ。意地悪なんかしやしないわ。」 「じゃあ。」 「ううん、難儀なの。」 新潮文庫P64より
なんだ、このあほ小説は。 日本を代表する作品がこれか。 と、初読の思った。 過去の話の挿入がごっちゃになって分かり難かったし、 島村も何考えているのかよくわからない。 そんなにいい印象はなかった。

その後、映画で、
岸恵子が駒子を演じたものと
岩下志麻が駒子を演じたものを見た。
「あんた、何しに来た。」
「そんなこと言うもんじゃないよ、君ぃ」
とか言いながら、島村が駒子に擦り寄って、駒子の髪食べとる!
なんだ、この島村のくずぶりは。
一方、駒子の情の深い演技は、演者の腕がでて面白い。
内容(ストーリー展開)がないので、純粋に演技が楽しめた。
書評6点もつけているけど、映画込みの点数。

今回珍しく、注釈を読んだら、
島村って駒子を引き立てるだけの登場人物だったって書いてた。
すごく納得。
駒子だけ見ているととても面白い小説でした。
島村が、
駒子の一途な生き方に引かれるところをもっと強調してもらいたかった。
それで、僕もこれから一生懸命に生きるど~
ってなると、行きすぎて興ざめだけども。

ところで
川端康成のすごいと思うところは、その性癖。
ロリコンと昆虫に関しては、
小説(フィクション)を超えて、
実生活でなにをやってたんやと感じさせる、
性向の激しさがある。
世に出る人は、
一般に誉められてることだけじゃなくて、
何か卓越してるものがあるなと思う。

再読
書評(10点中) 6点
趣味は「読書」:雪国

村上朝日堂 村上春樹村上朝日堂
村上春樹
新潮社 1987/02
定価:¥ 500

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村上春樹の初のエッセイ。
村上春樹のエッセイは「村上ラジヲ」一冊よんだきり。
でも、
偽善者、偽善者って言われるけど、偽善者じゃないよ
という、村上春樹のいなし方が楽しかったし、
他にも、
その本から、猫を借りる話をぱくって、
なんで猫の手を借りるって知ってる?と
そのまま他人にえらそうに語っていたぐらい気に入っていた。
ものの見方が一味違って、
この人はエッセイうまいなぁって好印象でした。
で、
今度もまた、話のネタにぱくったろ、ぐらいのスタンスだったんですが、

そりゃGNPなんていうものが新宿西口広場にどんと置いてあって、さわりたい人は誰でもさわってよろしいっていうんなら僕だって信用してもいいけど、でなきゃ実体のないものなんてとても信じられないよ。 新潮文庫P13より
なんだ、これは。 この文章を読んでなにも思われないなら、 僕の感覚が狂ってるかもしれない。 「GNPなんて触れないもの、とても信じられないよ」 「よ」を最後に使うことがないから特にそう思うかもしれない。 最近、この台詞を通常会話の中でさらっと使えるかと思って、 通勤電車でよく考えていたが、とても、普通に言えそうにない。 どんな会話をしてても、 えっ、お前、それはどういうことや。 って絶対会話が途切れそう。 「でなきゃ実体のないものなんてとても信じられないよ。」 大阪弁との愛称が悪いかもしれない。

そんなこんなで
前半、妙に構えてる印象で、
村上春樹独特の雰囲気が出来ていない村上春樹の文章だった。
しかし、最後のほうは慣れてきたのか、
文中で、ピースをしてた。
文章の中で、ピースが自然と出来るのはさすが。
明らかに、前半に比べて後半はうまくなっている。
そうなると
「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」という題名の
後のエッセイが気になる。

一方内容は
村上春樹の素性をほとんど知らなかったので、
ジャズ喫茶を経営してたとか、
結婚は早かったとか、作者の情報が興味深かった。

これは、評価低いだろうなと思ったら、
案外アマゾンに載っている評価が高かったので不満。
村上春樹ってだけで、評価が甘いんじゃないかな。

ちなみに期間限定で村上朝日堂が復活してます

書評(10点中) 3点
読みやすさ + 0.5点
趣味は「読書」:村上朝日堂