2006年7月アーカイブ

上野千鶴子が文学を社会学する 上野千鶴子上野千鶴子が文学を社会学する
上野 千鶴子
朝日新聞社 2003/11
定価:¥ 630

アマゾンで詳細を見る
被差別者の解放は、「差別者に似る」ことではありえない。(略)男領域に参入していくことがそれを解体し作り変えることを意味するのでなければ、何の意味があるだろう。そのようにして、「政治」も「労働」も「国家」もありとあらゆる「男性専用for men only」の領域、そのことで男が「男らしさ」を定義する領域を解体し作り変えていくべきなのだ。 朝日文庫P206より
ジェンダーって、 被差別(女性)と差別(男性)みたいなの図式があって、 虐げられてる被差別者が絶対で、 虐げている差別者に言い分はない。 対話は成立しないというイメージがあります。

「女性専用for women only」の領域が増えてる気がするし。
女性は大変だ。大変だ。
って、
なんで金出してまで女性の愚痴読まなきゃならんねん。

それで、授業として聞くジェンダーは仕方なく聞くけど、
自発的に本を購入する際には進んで選択肢に入れることはありませんでした。

たまたま、朝日文庫で「年末年始文庫フェア」っていうのがやってたので、
フェアに弱い僕は、
フェアにつられて、
ラインナップに入ってたこの本を買ってしまいました。

で、
文体とか全然知らないからこの機会に勉強しようと思ったのですが、
全然期待してた内容が違った。
上野千鶴子が文学に関連したものを論じた短編の切り集めで、
本の大テーマみないのないし。
切れ切れした内容の中心は、「ジェンダー」
本の冠に上野千鶴子ってある時点で覚悟はしてたけど、
主に、文学を素材にした「ジェンダー論」だった。

男性作家は女性幻想として、
現実の女性を無視した女性像で
小説を書いている。
そして、その幻想を現実にも押し付けている
とか、現在の萌え系の女性とかを連想させて、
ところどころ面白いところもあったけど、
ジェンダーに興味がなかったので、
正直読むのしんどかったです。

書評(10点中) 3点

歴史と小説 司馬遼太郎歴史と小説
司馬遼太郎
集英社 1979/01
定価:¥ 560
Rating: 5/5

アマゾンで詳細を見る
一方、おとなたにちとってきわめてばつのわるいことには、戦後のこの軽い、軽いがためにこのもしくもあるこの国家は自分たちの手でつくったものではないということである。戦いに負けることによって得た。 集英社文庫P137より
鬼畜米英が一転して マッカーサーが帰国するとき、 マッカーサーさん、ありがとうって お礼の手紙が数多く届けられたという。 豊臣秀吉が死んだら 次は徳川家康に総動員でなびくところといい、 260年続いた徳川幕府の瓦解のスピードといい 日本人は 変わり身の早業がすごい。 「関が原の戦いで、一日で天下が決まりました。」 おかしい。。。 日本史の先生、授業中に突っ込んで欲しい。 「なんでやねん」

司馬遼太郎は
このエッセイでも
日本人は不満な秩序でも
出来上がった秩序に乗るのがうまい。
思想がない。
幕末の勤皇・佐幕などは思想じゃなくてパッショネイトだ
と、いろいろ言ってます。
(変わり身の早さは司馬遼太郎の小説「関が原」がきれいにまとまってる気がする)

「山に、段々に米を作っているのは、
日本が平野が少ないので、
苦肉の策でと思っていたが、
上から下に水が流れるため
山に田んぼを作ったほうが灌漑に便利だから」
など、
司馬遼太郎のエッセイは、
小説のように一本のストーリーはないけど、
ところどころ、
消化不良なところを刺激してくれて楽しい。

小ねたも
三好氏滅亡の際に
織田信長の捕虜になった三好氏の元コック長の話など、
一冊の小説ほどの量はないが
雑談の名人と言われるだけあって面白い。

書評(10点中) 6点
ここ書評は司馬遼太郎に甘いです。
趣味は「読書」:歴史と小説