2006年11月アーカイブ

あすなろ物語 (新潮文庫)表紙
あすなろ物語
井上 靖
新潮社
発売日:1958-11
定価:¥ 460
224ページ
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たまたま時期悪く読んで、
おお泣きしてしまった、小説。

本屋で本を探していると、
この本の解説が、
「あすは檜になろうと念願しながら、永遠に檜になれないという悲しい逸話を背負った"あすなろ"の木に託して、...」
って書いてて、
あれ?漫画の
「第三野球部」
では、
あすなろって、あすはなろうという姿勢が大事で
結果は二の次みたいな扱い方じゃなかったかな?
有名な小説だから聞いたことはあったけど
まだ読んだことなかったな
って目にとまった。

あすなろが悲しい木?どういうことだろうと、
読んでいくと、
机の前に克己と書いて勉学に励んでいる少年が、年上のお姉さんに

「教えてあげるわよ、誘惑って知っている?勉強する人誘惑するの、面白いからよ」
新潮文庫P38

って、骨に抜きにされて、「いいよ、勉強はあすやるよ、あすやる」みたいな悲しい話やったんか!
...、ちゃうかった。

と、いやらしい話、
これを(やったんか!...、ちゃうかった。と)2,3章続けてると
感想一個できるわ。
感想が安上がりの小説に当たってよかったで。
感想の筋書きができたので
後書きやすいなと思って、
最後の名シーンを読んで一章終えた。
↓一章最後のシーン

「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ」
と、多少の軽蔑をこめて説明してくれたことが、その時の彼女のきらきらした眼と一緒に思い出されて来た。
あすなろの木の下で二人が横たわっているそのことに何の意味もあろう筈はなかったが、その木の命名の哀れさと暗さには、加島の持つ何かが通じているように鮎太には思われた。
新潮文庫P42

時期が悪かったことに、
「スローカーブを、もう一球」にも影響され、
親に、
「受験生のころみたいな崩れた生活リズムになるかもしれん。
久しぶりにまたやるわ。」
と、久しぶりにやる気を出しかけてたとこだった。

たまたま同僚と飲みに行った。

だいぶ飲んでると
急に「あすなろ」の哀れさが身にしみてきた。

今のままでは劣等感に押しつぶされそうで、
明日は何かになろうとしても、
永遠になれない力のなさ。
だいたいが、あつかましくも、
心の中では、檜になれると思っている浅ましさ。
なれない雲の上のものやのに永遠に足掻いてるって、
いつまでやってんねん。
もう、いい年やないか。
もういい、もういい。
でも結局は明日はなるって思ってないとやってられない。

わかる。わかるぞ、あすなろ!

バーで音楽聴いて気分が高揚してたのもあったけど、
トイレで、どばーっと涙が出てきた。
店の人がトイレで何してんねんって心配するぐらい
涙がとめどなくでてきた。

「第三野球部」の解釈のように
結果を求めずがんばってると、
あすなろは立派な木と見るのはうまくまとまって、奥行きがない。
望みがないのに永久にがんばってる「あすなろ」を
哀れで可哀想という見方で考えると
すごく泣けてきた。

読んだ時期が悪かった。
せめて、読みきってしまっていれば
泣くような小説でもなかったのに。

書評(10点中) 7点

やる気が出てきたので久しぶりに
速読日記復活。
まず、さっさとホームページ作り上げちゃうことにしました。

レキシントンの幽霊 (文春文庫)表紙
レキシントンの幽霊
村上 春樹
文藝春秋
発売日:1999-10
定価:¥ 450
213ページ
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この本を読んでる途中に寒くなった。
でも、本が面白くて読み続けてた。
でも、やっぱり寒くなったので暖かいところで読んだ。
というぐらい、
一瞬寒さも後回しにしてしまうぐらいの面白さだった。

7つの短編からなっているが
「めくらやなぎと、眠る女」

「誰の目にも見えることは、それほど重要なことじゃないっていう意味なのかな......。よくわからないけど」

文春文庫P206より

めくらやなぎの重要なところは
一体どこだったのかって、変に気にかかる。
しかも、「ノルウェーの森」と間接的につながりがあるみたい。。。
逆に、
「七番目の男」は
主人公も納得しちゃったから、
こっちも納得して、
はい、お終いって、気持ちよく終わって、
昨日読んだのにもう忘れてた(これ書いてるときに思い出した)。

面白いんだけど表現しにくい(感想が書きにくい)。
何が面白いかわからないけど、面白い。
トニー滝谷
映画化されてるみたいんだけど、
演技が大変だろうなと思った。

書評(10点中)5点

スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))表紙
スローカーブを、もう一球
山際 淳司
角川書店
発売日:1985-02
定価:¥ 500
254ページ
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自分が充実感を味わえる生き方をすればいい。
なんて小学生の時言われたなら、
ずっとゲーム(ファミコン)をしてたと思う。
今年、
同じ誕生日の人がいたので
誕生日に飲んでて、
「この年になって、今まで生きてきた中で栄光ってなんやろう?」
って、話になって
「ドラクエ3でレベル99にしたよ」
「ファイヤーエンブレムでシータを力20にしたよ」
って、話しか出なくてお互い心で泣いた。

セーブの関係で
いちいち次の面が始まる時に
レベルアップするように経験値を用意して
レベルアップで力があがらなければリセットしまくって
ファイヤーエンブレムでシータを力20にしたころ、
確かに充実してた。
しかし、
だんだん時間がたつごとに
充実感が反比例して
そんなことをしていた空しさがつのる。
人間的に経験値はまったくつめてない。。。

でも、今、何に充実感を味わえるって聞かれると悩む。

こんなのと比べると失礼だけど
ここに登場している主人公は、
思いたってトレーニングを積んで
オリンピックの選考に残ったが、
モスクワオリンピック不参加など。
スカッシュや、棒高跳びなどスポーツ競技では日本一だが、
職業は、ディーラー、教師などで、
スポーツでお金をもらっているプロではない。
スポーツで何かを得られると思っていた。
しかし、
青春をすべてつぎ込んで日本一になって
社会的に何もなかった。
そして青春はもう終わってしまった。
そんな空しさを匂わせている。

モントリオールは昭和五十一年の秋。思いたって一年半のトレーニングで、彼はメダルをとろうとした。
本当に彼はそう思ったのである。
冗談ではなく。
角川文庫P71より
高校のころは、この一節がすごく好きだった。 この選択は、 ボートに打ち込むために就職もけって この人の人生にとってプラスじゃなかった気がする。 でも、僕は高校生の時、 人から冗談と思われるような高い目標を 本気でやれるこの人にすごくあこがれた。

夏の100冊などの出版社のキャンペーンを見てきて、
選出から漏れてびっくりしたのが、
城山三郎の「辛酸」と
この、「スローカーブを、もう一球」
そんな思いもあって、
ホームページの熊の写真の隣にこの本が微妙に写っている。

「辛酸」は、その時、城山三郎を読んでたのでびっくりしたけど、
今、見るとあぁ落ちるかもなぁ。と思う。
「スローカーブを、もう一球」は
「夏」で「若者」がターゲットならば、
絶対100冊に残る名作だと今でも思ってます。

再読
書評(10点中) 6点
読みやすさ +0.5点

できればムカつかずに生きたい (新潮文庫)表紙
できればムカつかずに生きたい
田口 ランディ
新潮社
発売日:2004-02
定価:¥ 540
318ページ
アマゾンで詳細を見る

前半は
家族がお荷物
っていうことばかりで
読んでてうんざり。

家族がお荷物って思ってる人は
あとあとの
作者がどう取り組んだかというのは
共感するかもしれない。

家族以外の章では
今まで漠然とは感じていたものを
言葉でうまいこと表現していた。
特に第二章の
「できればムカつかずに生きたい」

ムカつかないよう心が安定するように
どういう風に取り組んだかも面白いし、
どうにう事にムカついてきたかの洞察もするどい。
買わないまでも、
ここだけ立ち読みしてする価値はあると思う。

と、書いたけど、
他の書評など見てると
人によって、案外、よかった場所が
ばらけてた。
伊達に売れたわけでもなかった。

書評(10点中) 4点

テレビ「爆笑問題のススメ」の最終回で
太田光が
お薦めの本3冊みたいなのを紹介していた。
この3冊に「タイタンの妖女」が入ってなかったので、
あれ?と思ったら、後で、別格として紹介してた。
事務所の名前を「タイタン」にするぐらい
太田光絶賛の本。
今年、ハヤカワのhot hit100に選ばれてたので購入。

読んでて、
昔、映画「猿の惑星」で
人間が猿を奴隷にして労働させることに
感心していたころを思い出した。
この小説のように、
脳科学が発達すれば、
猿といわず
クローンを奴隷に仕立て上げて、
余計なことを覚えれば、
記憶を操作し、知能を一定に保たせ
西遊記の孫悟空みたいなワッカを
頭につけてコントロールすれば
猿の惑星よりも効率的なんじゃないかな
と思いながら読んでいた。

でも、
その後、労働力を得た後どうなるだろう?
人間が植物に水をやるように、
奴隷が人間に持ってきた食料を食うだけか、
「創造的な」芸術や、発明に
行き先のないエネルギーを費やすだけと思う。

明確にコントロールされるアンテナはないけれど、
社会から選別された情報を記憶し、
他人からの軽蔑や嘲笑、賞賛などをもとに
社会生活してるんだから
あんまり変わりないなと思った。

「タイタンの妖女」は読んでて
人類の目的って種の保存?
生きてることに目的ってあんの?
途中で変に悟った気になって、
どーでもいいやん気になる。
でも、
投げ捨て型の終わり方ではなく、
大げさだけど、この小説なりに
一つの回答があった気がする。

あらすじ
「ラムフォードは宇宙の歪みに陥って、
過去・未来の時間軸と空間を漂うことになる。
すべてを見通すことが可能になった彼は、
強運によって巨万の富を得たコンスタントに使命をかす。
無一文になり、記憶を抜かれ、
星を転々とすることになったコンスタントが
最後の星タイタンで明かされた真相とは」

最後のビアトリスの台詞がすごく好きです。

書評(10点中) 8点

SFが苦手で、
火星のあたりがきつかったけど、読み応えがあった。
今回前半すごく感想文ぽかった。
SFって、
発想が広がるって意味では感想文向きかも。

放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)表紙
放課後の音符(キイノート)
山田 詠美
新潮社
発売日:1995-03
定価:¥ 380
193ページ
アマゾンで詳細を見る

今まで、山田詠美といえば、
「僕は勉強が出来ない」
しか読んだことがありませんでした。その時の感想
「僕は勉強が出来ない」は、
主人公のやってることがすべて
勉強が出来ても、人間的に魅力がなければ意味がない
って感じのモチーフの表現するために
作者に操られてるようで、
主人公の行動にエゴを感じませんでした。
また、主人公の心理描写もさわやかすぎて
女性が望んでる男性像が
ですぎてるなぁと思いながら読んでました。

たまたま近くにあったので読んだら、
山田詠美だったんだけど、
この本は、面白かった。
8つの短編からなっていて、
ほとんどの、主人公は、
友人を
横目で見てるだけの消極的な主人公だが、
積極的に行動する友人を
憧れや、ねたみ、など
入り混じった感情で観察している。
新潮文庫の100冊では
山田詠美といえば、
「僕は勉強が出来ない」が本命だけど
この本は、
「僕は勉強が出来ない」より
主人公は消極的だけど、
一人のキャラクターとして
しっかり息づいている気がしました。

で、
個人的な正直な感想、
ええ年したおっさんが
恋にちょっぴり背伸びしたい女子高生のお話
の本を買って読んでるって。。。
いったい、何が目的だ。。。
こんなに乙女乙女した内容と思わなかったので
どんな顔してレジで買ってたんだろうと
読んでてさぶい思いをしました。

書評(10点中) 5点