2007年7月アーカイブ

リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)表紙
リヴィエラを撃て
高村 薫
新潮社
発売日:1997-06
定価:¥ 740
485ページ
アマゾンで詳細を見る

作ってるHPに、
新潮文庫の100冊を紹介していて、

2003年は「リヴィエラを撃て」以外すべて読んだが
読んで失敗をしないラインナップ。


これから消そうと思ってるけど、
当時書いていた。

こんな回りくどい
書き方したくなかったんだけど、
この本だけ読めなかった。

人生の中で一番数多く読了しようと
挑戦して挫折した小説。

最初の
ジョージ・F・モナガンの手紙は5回以上読んだ。

中古で持っているにも関わらず、
本がきれいだとテンションがあがるかもと思い、
新しいのを買いなおした。
(三島由紀夫の金閣寺はこれで成功して最後まで読んだ。)
けど、無駄だった。

長期休暇取れるお正月に、
今年の目標は
「リヴィエラを撃て」を読むこと
と位置づけて読んだ
けど、無理だった。

だいたい、物語の流れが悪いと思う。
だいたい、MI5とか、CIAとか、IRAとか、警視庁外事一課とか、
ただでさえ
なじみの浅い組織が入り乱れるのに、
時間も場所も
1994年東京→1992年東京→1978年アルスター
って、頭が付いていけない。
1978年アルスターでいつも挫折してました。

で、
仕事終わりに喫茶店で陣取って、
我慢して嫌々ページをめくって読んだ。
が、
ジャック・モーガンが活動してくるごろになると、
手が止まらなくなった。

本が始まって30ページもしないうちに、
1992年東京で死ぬ主人公のジャック・モーガンが
魅力的で、
内容を理解してなくても
その人物を読みたくて、ページが進んでしまう。

だいたい100ページ我慢したら
ジャック・モーガン以外も
登場人物がかっこよくて
引き込まれる小説だった。

登場人物のどこがかっこいいかといえば
それぞれの組織で
感情を押し殺しながら生きている登場人物が
どうしても感情を押し殺せない事柄があって、
自分の立場を忘れて行動してしまうところだ。

で、
最後は自分の気持ちを
組織に押し殺さずに
個人を押し通して行動するって
かっこええわぁ
と、うっとりして読んでたんだけど。

今日、たまたま

電車内で女性の耳に息を吹きかけるなどしたとして、警視庁刑事部所属の警部補(41)を逮捕した。

って記事がちょうど出てた。
酔ってたらしいけど、この人も
自分の気持ちを
組織に押し殺さずに行動したのかなぁと思うと
目が覚めました。
社会生活はかっこよさを求めるところじゃなくて、
組織に押し殺されながら、生活費稼ぐとこやと思い直しました。

登場人物かすごく良かった。
ストーリーがもったいない感じ。

書評(10点中)5点

ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上)新潮文庫表紙
ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷
塩野 七生
新潮社
発売日:2002-09-01
定価:¥ 420
195ページ
アマゾンで詳細を見る

サブタイトルの「勝者の混迷」を見て、
あぁ、次の時代までの引き伸ばしぐらいなんだろうな
と思ったけど、
性格上最初から読まないと駄目な方なんで
期待せずに読んだ。

グラックス兄弟、マリウス、スラ、ポンペイウス
無理やり受験で単発の人名を覚えさされたけど
そんな無理やり覚えさせられた人が
こんなことやってたんや
というのが分かって面白かった。

グラックス兄弟の改革と
マリウスの私兵化が
こんな風につながっているなんて
高校受験世界史では分からなかったことがつながった。

それに格差の問題など
現在と照らし合わせるところがあって
思ったより面白かった。

正直、
現在の政治家の街頭演説や
政治コメンテーターの話を
興味深く聞けないのに
昔のことを書いてる本に興味がわくというのは
優れた解説者がいないと
社会をイメージできない表れの気もするんだけど。

職をつかない人は尊厳を奪われ
喜んで兵隊になったって書いてたけど
(引用しようと思ったところ見失った)
僕は兵隊に行くぐらいならニートでいい。

かの有名なカエサルが30代まで
たいした業績を上げていなかったことが
この本を読んで一番癒された。

書評(10点中) 4点

風林火山 (新潮文庫)表紙
風林火山
井上 靖
新潮社
発売日:2005-11-16
定価:¥ 540
337ページ
アマゾンで詳細を見る

ほこりのかぶった小説が、
「テレビ放送中」と押し出されてるのを
より見るけど、
買おうと思ったことはありませんでした。

今回は、新潮文庫の100冊で選ばれたので購入。

読んでみると、
両親が、大河ドラマを見てる隣で、
「来週は、板垣信方が死ぬごろやなぁ」
「いやぁ、原作では・・・」
と、言うのは気分が晴れる。

山本勘助は有名だけど、実在が疑問視されていた。
だから、一体何を書くんだろうと思っていたら、
話の骨は諏訪の由布姫だった。

「みんな死んで行く。せめてわたし一人は生きていたい」
姫は言った。その言葉は勘助が今まで耳にきらきらした異様な美しさを持ったものであった。武家の女なら誰も口に出すのを憚る言葉だったが、心を直接打ってくる何かがあった。
新潮文庫 P63より

勘助は信玄に献身的で、
強気な由布姫に振り回されてるだけの存在で、
キャラクターとして今ひとつ。
目立った戦術も出ずに今ひとつ。
せめて
由布姫をもっと前に出して諏訪への執念か、
生への執着を出してほしかった。

引用のシーン以外
全体的にすっきりしていて
どろどろ感がなかったのが残念。

最後の川中島の戦いで、
勘助の作戦が完全に裏目に出たときの
勘助の焦燥感と、
信玄の落ち着いた態度が
仕事柄
バグを出しておろおろしているプログラマーと
落ち着いて考えてるシステムエンジニアを思い浮かべて面白かった。

書評(10点中) 4点

タイムマシン (角川文庫)表紙
タイムマシン
H.G. ウェルズ
角川書店
発売日:2002-06
定価:¥ 500
270ページ
アマゾンで詳細を見る

手塚治虫は「火の鳥」で西暦3404年、一度人類を死滅させ、
田中芳樹は「銀河英雄伝説」で西暦2801年に宇宙暦1年として生活圏を太陽系外に移し地球を辺境とする。
(機動戦士ガンダムは、西暦2045年が、UC1年という説が昔はあったらしい)
SFで、未来人類をどう書くのか興味があります。

おそらく、現在の作家が未来を描写する場合、
環境問題や、強力な破壊兵器が存在する以上、
地球に生活圏では、西暦が5000年も続くと考えないと思う。

この小説は、
環境問題や、強力な破壊兵器が存在せずに、
地球の生活圏に危機感を持たなくてもすんだ昔の作家が
802701年、地球の未来を描いた小説。

人類は快適な安易な生活を求め、安定して永続的な調和の取れた社会という標語のもとに、たゆまず努力して、その目的を達した――それがこんな結果を招くとはね。
(角川文庫 P100より)

人類は自然を征服した。
社会は資本家と労働者に分かれ、
労働者は地下に押し込まれて労働を強いられ、
目的がなくなった資本家は行動する必要がなくなり退化していった。

この小説の面白いと思ったところは
目の前の光景を見て、
なぜ、人類がどのような歴史をたどってこうなったかを
主人公が考えているところ。

確証がとれないのだから、
しょうもないものを見て、
もっとむちゃくちゃな推論があっても
面白かったかもしれない。

(ところでドラえもんのタイムマシンで人類滅亡の未来まで行った事あったのかな?)

書評(10点中)
タイムマシン 7点
盗まれた細菌 3点
深海潜航 4点
新神経促進剤 4点
みにくい原始人 2点
奇跡を起こせた男 4点
くぐり戸 6点