2007年11月アーカイブ

星を継ぐもの (創元SF文庫)表紙
星を継ぐもの
ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社 1980-05
定価:¥ 693
309ページ
アマゾンで詳細を見る

SFを代表すると言われる作品で、
東京創元社文庫の
ベスト・セレクションフェアで
2005年、2006年、2007年と連続で唯一入っている。

読む前から、定番の小説で失敗しないと思ってたが、
期待以上に面白く、
予想外のラストがすごい。
読み終わっても、
遠い、宇宙と古代へと思いをめぐらせてしまう感じがいい。

読まないともったいないと思う小説の一つ。

世界中が注目している重要な会議に
まるで、その一員として
参加している気分にさせてくれる。
各分野の学者が難しそうな話してても、
わかったつもりになれるように書いている。
発想もすごいけど、
小説家としての腕もすごい。

ちなみに、
映画のZガンダムⅠのサブタイトルは
「星を継ぐ者」を元につけているらしいが、
映画の最初に漂っているノーマルスーツは、
小説からモチーフをえているみたい。
(ZガンダムⅡ「恋人たち」はフィリップ・ホセ・ファーマーという人の小説のタイトルらしい)

書評(10点中) 7点

十角館の殺人同様
「あんまり書くと、小説の面白さを損ないそうなので書かないけど」
と書こうと思ったんだけど、
だったら、なんで読書感想文をネットで
公開してんだろうと思った。

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)表紙
恐るべき子供たち
コクトー
光文社 2007-02-08
定価:¥ 540
262ページ
アマゾンで詳細を見る

鉄の処女・エリザベートと、
雪の若者・ポールの姉妹は
世間と隔離された「子供部屋」で
夢想と現実を織り交ぜた遊戯で
毎日を過ごす。
無垢で残酷で脆い姉弟の愛憎劇。

本を読んで、感想を書く前に、
他の人の感想をネットで読んだら、
自分が思ってたところと、
他人が焦点を当てるところが
違ってたので、困った本。

「子供部屋」と遊戯と、
現在のニートを結びつけるような感想が
あるのかなと期待してたらなかった。
代わりに
解説の影響もあってか、
悪魔的な美少年のダルジュロスと引っ付けて
悲劇的な結末が運命付けられた話
というのを、クローズアップしてる感想が多かった。
ダルジュロスがポールの運命を左右する人物はわかるけど、

あらかじめ神のような絶対者によって運命を決定された人物たちが演じる純粋無垢の運命悲劇といえよう。

光文社古典新訳文庫P249解説より
っていうのは言い過ぎの気がする。
運命って言ったって、
ストーリー=運命が、作者のさじ加減で決まるのは小説全部一緒だし。

僕は、
小説の最初に書かれている、
(長いので自分の好みでまとめると)

子供は動物や植物に似た本能をもち、
独特の儀式を秘密裏に行っている。
その儀式は、
計略や、生贄や、即決裁判や、脅迫や、
拷問や、人身御供が付きものであるが、
その内容は独特の隠語を使うので、
ほとんど子供にしか理解できない。

というのを、
二人の姉弟が体現した小説と思った。

タイトルの
「恐るべき子供たち」
恐るべきはこの儀式のことを言っているのと思う。
原題も
Les Enfants Terribles
で複数ぽいし、
恐るべきは、
ダルジュロスでも、エリザベートの最後の行動(って書いてるのもあったけど)
のような特定のものをさしてるんじゃない思った。
訳なのでよくわからないけど、
恐るべき手を洗うエリザベートっていう
変わった記述が最後のほうにあるけど
この恐るべきも
儀式が下された手をって意味と思った。

関連がわからないけど、
恐るべき子供ってフランス語で用語があるらしいですね。

とにかく、
いろんな解釈してしまうぐらい面白い。
訳もいい。
光文社古典新訳文庫はいい。
いつか、一度岩波で挫折した、
カラマーゾフの兄弟を光文社古典新訳文庫で読むぞ。

書評(10点中) 6点

昭和史七つの謎 (講談社文庫)表紙
昭和史七つの謎
保阪 正康
講談社 2003-01
定価:¥ 600
270ページ
アマゾンで詳細を見る
こうした謎は、史実を知れば知るほど、調べれば調べるほどより深まってくる。(略)いや謎というより疑問、不信、不可解という語で語っていいかもしれない。理解できないことといってもいいだろう。
講談社文庫P10より
昭和の七つの謎を検証する。 目次から、少し自分のわかりやすいように言い換えると 七つの謎とは、 ①日本人は東亜の解放のために戦っているなど、なぜ錯覚と陶酔の中で生きていたのかという謎。 ②真珠湾攻撃で、なぜハワイを占領、または基地機能停止まで攻撃しなかったのかという謎。 ③日本内でのスパイについて。 ④敗戦後、ドイツ、朝鮮のように、社会主義との分割占領になっていた可能性。 ⑤東京裁判で、海軍は免れ、なぜ陸軍だけが絞首刑になったのか。 ⑥戦中、あれほど抵抗しながら、占領後、マッカーサー暗殺などの、地下活動はなかったのか。 ⑦敗戦後旧日本軍の軍事物資はどうなったのか、M資金の謎。

①の
喧嘩をして、
どんなに劣勢でも
負けたと認めなければ
決して負けたことにならない。
しかし、死ぬまで殴り続けられるだろう。
殴り続けられる役を国が国民に強要した。
って例えがうまいなと思った。

②は、
陸軍と連携してなかったようだし、
ハワイを占領など、素人の空想としながらも、
そこから、日本はどこで戦争を終わらせようと考えていたのかまで
話を進める。
確かに、ワシントン占領など、いくらなんでも考えていないだろう。
じゃあ、どこで?
ということで、もう一度真珠湾攻撃に焦点をあてていく。

こう謎を七つあげると、読み終わった今でも興味深そうだけど、
こうした謎は、読めば読むほどしんどくなってくる。
(作者ほど探究心わかない)
ハワイ占領、マッカーサー暗殺など思いもつかなかった単語をつなぎ合わせたり
題を見て自分勝手に妄想してあたりが一番面白い。

昭和史は、
読んでる自分も偏ってると思う。
日本は負けてよかったと思いながらも、
どこかで日本に勝ってほしいと思っている。

文字で読む以上に、
写真で見る方がより冷静に見てない気がする。
ジャーナリズムは大切とは思う。
でも、50年たてば歴史になると言われていたものが、
写真や映像が残ってくるこれからは
50年で歴史にならないんじゃないかなと思った。

再読
書評(10点中) 4点

Part2も出ているらしい