「深紅」野沢尚

小説の基本情報 深紅 (講談社文庫)表紙
深紅 (講談社文庫)
野沢 尚
講談社
発売日:2003-12
定価:¥ 730
454ページ
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講談社の100冊の中で
犯罪の被害者の娘が
加害者の娘に会いに行くという
あらすじが面白そうだったので購入。

しんどい小説だった。
主人公の闇の深さを印象付けたかったのかもしれないけど、
もうええわって言うぐらい、
ハンマーで頭を砕かれた殺害の犯行の記述があり、
苦しむ主人公。
読んでるほうも疲れた。

とにかく、被害者の娘と加害者の娘と会うまでの辛抱だと、
いやいや読み進めていくと、
後半はつまんない小説へと変貌していった。

物語の最初から出ている、
裸で走って一等を祝福を求める狂った大学生がいきていないところが残念。
もっと分かりやすく、主人公の境遇とかぶせてくると思った。
途中で裸になったし。
主人公が何かを勝ち取って祝福を求める姿を期待しちゃった。

 力まかせに鐘を鳴らしてやりたい。その肩からちぎれるほどに。
 今、自分が口許に浮かべているのは、神様と取引をするための笑いではない。
 あの女もおそらく内にこしらえている隠れ家。森を掻き分け、それを探し当て、蹂躙する楽しみ。
 だから奏子は微笑んでいる。
講談社文庫P219より

被害者の娘と加害者の娘が
同じ心に似た闇を持って、
被害者の娘が、加害者の娘の傷をひろげにいく
という肉体的ではなく精神的に復讐するという着想はすごく面白い。

ネタバレになるけど、
このあらすじを読んだとき、
被害者の娘が、加害者の娘に会ったときの、
加害者の娘の反応も楽しみにしていた。
それが肩透かしだったのも消化不良。
カタルシスを感じなかった。←文学賞のコメントで使ってたので、使ってみたかった。

消化不良だけど、読後感はいい。

この小説のすばらしい応援団・高橋克彦さんの最後のあとがきが一番楽しい。

書評(10点中) 4点