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「なつのひかり」江國香織

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小説の基本情報 なつのひかり (集英社文庫)表紙
なつのひかり
江國香織
集英社
発売日:1999-05
定価:¥ 600
333ページ
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たまたま、新潮エンターテインメント新人賞の
江國香織の選評を読んでいて、
「小説は、何が書かれているか、ではなく、どう書かれているか、が問題で、だから言葉ですべて説明してはいけない。言葉は、一つ一つが全部起爆剤です。」
みたいな事を書いていた。
こんな風に小説を考えてるんだと思って、
久しぶりに読んでみたくなった。

で、
読んでみたこの「なつのひかり」は面白くないと思う。
江國香織の小説だったら、
これより面白い小説のほうが多い。

ある意味選評どうりというか、
何が書かれているか分からない上に、
起爆剤にもならない。
これほどまでに、
何が書かれているか分からないのは初めて。
ヤドカリが風呂に入ったり、
キャラメルの箱で電話をしたり、
いきなり外国に行ったり、
脈絡が見えない。
にもかかわらず、完全に不思議の国にしているわけでもない。
どこまで真に受けていいのかわからなくて戸惑う。

あとがきで、三木卓がいっているように、
江國香織は、言葉だけで感覚の快楽を味あわせてくれる珍しい作家と思う。
でも、この小説は、あまりない。

小説単品としてはいまいちだったけど、
ただ、今まで読んだ江國香織と比べるという面で言うと、メグが毛色が違ってよかった。
↓メグの登場シーン。

 なんということだろう。調子のはずれた歌みたい。ひどくちぐはぐな女の人だ。棒のように瘦せた手足と子供じみて平板な胸、頭に鳥の巣をのせたような、奇妙な髪の毛は黄色く脱色されている。(中略)陽気な顔つきなのに、おそろしく不幸な空気を漂わせた人だ、と思った。そのアンバランスが、独特のオーラとなって彼女をとりまいている。
集英社文庫 P55より

この小説は違うけど、
江國香織の小説は
主人公にいつのまにかシンクロして
主人公の感覚にどっぷりつかって楽しましてもらう。
主人公が好きなものは、読んでるほうもとても愛らしく思う。

独特の雰囲気をもつ江國香織の小説の中で
主人公の空気を読めなくて、
主人公に悪感情をもたれる登場人物を知らなかったので、
僕には目新しくて、メグが出てくるところは楽しめた。
メグが何をしても、悪く思われる。
主人公が気に入らないものは、ここまで言うかと思った。

書評(10点中) 3点